近年ドローンの技術発展に伴い、個人で撮影した動画を自身のSNSに投稿したり、映画やCM、テレビのカットとして不動産、観光名所などの空撮、農業の薬剤散布など、あらゆるビジネスで活用を試みる企業や経営者が増加傾向にあります。
そんな中、ドローンに対する日本国内の認知度はまだまだ低く「いざドローンをつかって何かしよう!」と思った時に「ドローンの飛行規制はどんなものがあるの?」「ドローンの飛行許可の申請はどこに問い合わせるの?」など、たくさんの疑問が出てくると思います。
そんな疑問に応えるべく『ドローン飛行許可の申請方法』に注目して詳しく解説していきます。
ドローン飛行規制と申請方法は?
・ドローンを飛行させるうえで気を付けなくてはいけない法律・規制・条例は6つあります。
1.航空法
2.小型無人機等飛行禁止法
3.民法
4.電波法
5.道路交通法
6.都道府県、市町村条例
どの法律・規制・条例も「飛行機との衝突」「建物への衝突」「人との衝突」など『安全の確保』が一番の目的で法環境が整備されています。
過去には実際に航空法に違反した人物が逮捕される事例も発生しており、ドローンに関する規制に違反する悪質な行ないをした場合には厳格に処罰されることが明らかになっているため、ドローンの飛行規制別に飛行許可の申請方法を分かりやすく解説していきます。
航空法
航空法第132条に定める「飛行禁止空域」における飛行や同132条に定める「飛行の方法」によらない飛行を行おうとする場合、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに、申請書類を提出が必要です。ただし、申請に不備があった場合には、審査に時間を要する場合もあるため、飛行開始予定日の10開庁日前からさらに、期間に相当の余裕をもって申請することをおすすめします。
<飛行禁止区域>
(A)空港等の周辺の上空の空域
(B)150m以上の高さの空域
(C)人口集中地区の上空
<禁止されている飛行方法>
〔1〕飲酒時の飛行禁止
〔2〕飛行前確認
〔3〕衝突予防
〔4〕危険な飛行の禁止
〔5〕夜間飛行
〔6〕目視外飛行
〔7〕30m未満の飛行
〔8〕イベント上空飛行
〔9〕危険物輸送
〔10〕物件投下
<飛行許可の申請先>
- 国土交通省
- 管轄の空港((A)空港等の周辺の上空の空域を飛行させる場合)
<飛行許可の申請方法>
- オンライン申請
- 郵送による申請
- 持参による窓口での申請
<申請方法の種類>
【一般申請】
一般的な申請方法。飛行させるドローンの機体、操縦者が決まり、飛行させる具体的な日時や場所が決まっている場合の申請です。包括申請に比べて、申請後の審査がスムーズですが、飛行スケジュールや飛行経路の変更が効かないというデメリットがあります。
【包括申請】
包括申請は一般申請と違い具体的に飛行させる日時や場所が決まっていない場合の申請です。例えば点検や測量など業務としてドローンを利用する際に悪天候によりドローンが飛ばせなくなった場合やルートを変更したい場合、一般申請の場合は改めて申請を行う必要がありますが、包括申請であればその必要がなく、作業への切り替えがスムーズになります。
※ただし、包括申請は業務での飛行を対象としており、趣味の飛行では承認が下りません。趣味のドローン飛行で申請が必要な場合は、一般申請を行うようにしてください。
【一括申請】
包括申請と違い、具体的に飛行させる場所も日時も決まっているが、それが複数ある場合はまとめて申請することができます。これを一括申請といいます。
一括申請をする場合はその申請者は同一でないといけなく、詳細まで特定していないといけないが、特定分一つ一つの審査へは対策が立てやすいといった特徴があります。
<飛行申請の書類>
①国土交通省に申請するのは、いくつかの書類作成が必要不可欠です。
②無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
③無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書
④無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書
⑤飛行の経路の地図
⑥無人航空機及び操縦装置の仕様が分かる設計図又は写真(※既成品は省略可能)
⑦無人航空機の運用限界(※既成品は省略可能)
⑧無人航空機の追加基準への適合性
⑨無人航空機を飛行させる者一覧
⑩許可等が必要な内容に応じた追加基準への適合性を示した資料
⑪飛行マニュアル
<その他の注意点>
航空法において、ドローンの飛行規制の適用は、総重量200g以下のものには適用されませんが、<飛行禁止区域>(A)空港等の周辺の上空の空域(B)150m以上の高さの空域は200g以下のドローンであっても例外なく規制対象となります。
また、航空法とは別に、警視庁が管轄する『小型無人機等飛行禁止法』については、たとえ総重量200g以下であってもすべての無人航空機が規制対象となるため注意が必要です。
小型無人機等飛行禁止法
本法第9条第1項の規定に基づき、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号。以下「小型無人機等飛行禁止法」という。)に基づき、いわゆるドローンの飛行を規制しています。
対象施設の管理者等から同意を得るなどして、警視庁が所管する「小型無人機等飛行禁止法」の対象施設周辺地域は(対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね300メートルの地域)の上空においては、小型無人機等の飛行を禁止しています。
飛行禁止の例外として対象施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等への通報が必要です。
・皇居
・霞が関の諸官庁
・国会
・政党本部
・原子力発電所
・米軍基地
・その他
<飛行許可の申請先>
- 飛行場所を管轄する警察署
- 皇宮警察本部長(皇居、赤坂御用地、仙洞仮御所に係る対象施設周辺地域で小型無人機等を飛行させる場合、小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して皇宮警察本部長に通報をする必要があります。)
<申請方法>
・48時間前までに、飛行区域を示す地図を添付して、当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署に所定の通報書を提出する。
・対象施設の管理者等から同意を得て飛行を行う場合、交付された同意を証明する書面の写しを提出する。
・小型無人機等の飛行を行うのが国又は地方公共団体の委託を受けた事業者等である場合には、国又は地方公共団体から委託を受けて小型無人機等の飛行を行うことを証明する書面の写しを提出する。
<機体の提示>
実際に飛行させる小型無人機等を提示する必要があります。それが困難な場合には、実際に飛行させる小型無人機等の写真を提示する必要があります。
<その他の注意点>
法律に明記された禁止事項でなくても、ドローンを利用する上で避けるべきことや注意すべきことが存在します。周囲の状況などに応じて、さらに安全への配慮が求められるので、以下にまとめていきます。
<国家的行事やイベント関連施設の付近>
G20サミットやワールドカップ、米大統領来日など国家的行事やイベントの際には関連施設の周辺が突発的に飛行禁止区域に指定される場合があるので注意が必要です。
<航空機の発着場付近>
空港等以外の場所でも、ヘリコプターなどの離着陸が行われる可能性があります。航行中の航空機に衝突する可能性のあるようなところでは、ドローンを飛行させないでください。
<高速道路や新幹線等の上空>
高速道路や新幹線等に、万が一ドローンが落下したりすると、交通に重大な影響が及び、非常に危険な事態に陥ることも想定されます。それらの上空及びその周辺ではドローンを飛行させないでください。
<鉄道車両や自動車等の上空>
鉄道車両や自動車等は、トンネル等目視の範囲外から突然高速で現れることがあります。そのため、それらの速度と方向も予期して、常に必要な距離(30m)を保てるよう飛行させてください。
<高圧線、変電所、無線施設の付近>
高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設の付近ならびに多数の人がWi-Fi などの電波を発する電子機器を同時に利用する場所では、電波障害等により操縦不能になることが懸念されるため、十分な距離を保ってドローンを飛行させてください。
民法
民法では「土地所有権の範囲」として、土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ、と明記されています。ドローンを飛行させるために必要な申請はありませんが、誰かの所有地でドローンを飛行させる場合、土地の所有者や管理者の承諾を得るのが望ましいです。
なお、民法では土地の所有権に正確な高さが明記されていません。ですが、第三者の土地の上空でドローンを飛行させる場合は、事前に許可を得ることが、最低限のマナーといえるでしょう。
【私有地の例】
・駐車場
・電車の駅、路線
・神社、仏閣
・観光地
・山林
・その他
<ドローン飛行の確認先>
- 各土地所有者、又は管理者
<確認方法>
- 直接連絡し、確認する。
- 電話で連絡し、確認する。
- 地権者にメールを送信し、確認する。
電波法
ドローンは本体となる「機体」を「送信機(プロポ)」からの無線電波によって操作します。無線局免許や無線従事者資格、その他ドローン飛行のための申請は不要ですが、他の電波装置との混線などを防ぐため、『技術基準適合証明等(技術基準適合証明及び工事設計認証)通称:技適』を取得を義務付けています。
DJIやParrotなどの大手メーカーの正規販売代理店が販売するドローンは、基本的に技適通過済みなので問題ありませんが、技適を受けていない海外製のものもあるので、ドローンを飛行させる前に、きちんと確認するようにしましょう。
<技術基準適合証明等の確認先>
- ドローンを購入した正規販売代理店
- 購入した機体のメーカー
道路交通法
『道路交通法』では、第七十七条で「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に対して「道路使用許可申請書(申請料2,700円)」を管轄の警察署に提出し、事前に許可証を取得しなければならないと定めています。道路上や路肩などでドローンの離着陸を行う場合はこのケースに該当するため申請が必要です。また、道路を通行する車両に影響を及ぼすような低空を飛行する場合も同様の許可が必要です。
<ドローン飛行許可の申請先>
- 飛行場所の管轄の警察署
<道路使用許可申請の方法>
道路使用許可書に合わせて、道路使用の場所、使用方法等を明らかにした図面を添付し管轄の警察署へ提出。(申請料2700円)
都道府県・市町村条例
『条例』に関しては、各都道府県、市町村によって各々異なります。ドローンを飛行させる場合には事前に飛行させる場所の確認し、事前に許可をとるか、申請が必要です。例えば公園などでは、ドローン飛行禁止などのポスターを張っているところもあります。
<ドローン飛行の確認先>
各都道府県、又は市町村
ドローンで仕事をするなら資格があると有利
現在ドローンを飛行させるうえで必要な資格はありません。そうなると「ならドローンの資格・免許ってとる必要ある?」と思われるかもしれませんね。
飛行場所や飛行方法の規則を守り、趣味でドローンをつかって動画を撮影したり楽しむだけなら問題ないでしょう。ですが、ドローンを活用した仕事・ビジネスをする場合は資格が有利に働くシーンが多く、ドローン資格を所持していることがアドバンテージとなります。自身の収入にも直結してくるポイントなので資格取得を是非、検討してみましょう。
まとめ
▼最後に、ドローンを飛行させるうえで申請が必要な規制と申請先を以下にまとめていきます。
【1.航空法】
航空法第132条に定める「飛行禁止空域」における飛行や同132条に定める「飛行の方法」によらない飛行を行おうとする場合、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに、申請書類を提出が必要です。
<飛行禁止区域>
(A)空港等の周辺の上空の空域
(B)150m以上の高さの空域
(C)人口集中地区の上空
<禁止されている飛行方法>
〔5〕夜間飛行
〔6〕目視外飛行
〔7〕30m未満の飛行
〔8〕イベント上空飛行
〔9〕危険物輸送
〔10〕物件投下
<申請先>
・国土交通省
・管轄の空港
【2.小型無人機等飛行禁止法】
飛行禁止の例外として対象施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等への通報が必要です。
・皇居
・霞が関の諸官庁
・国会
・政党本部
・原子力発電所
・米軍基地
<申請先>
・飛行場所を管轄する警察署
・皇宮警察本部長
【3.民法】
誰かの所有地でドローンを飛行させる場合、土地の所有者や管理者の承諾を得るのが望ましいです。
<申請先>
・各土地所有者、又は管理者
【5.道路使用法】
『道路交通法』では、第七十七条で「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に対して「道路使用許可申請書(申請料2,700円)」を管轄の警察署に提出し、事前に許可証を取得しなければならないと定めています。
<申請先>
・管轄の警察署
【6.都道府県、市区町村条例】
ドローンを飛行させる場合には事前に飛行させる場所の確認し、事前に許可をとるか、申請が必要です。
<申請先>
・各市区町村役